ミュージカルの本質とは何か
テレビ朝日「題名のない音楽会」、石丸幹二専門の分野、ミュージカルを取り上げた。フランスのオペラ・コミック、ヴィーン・オペレッタが起源である。アイルランド系アメリカ人、ヴィクター・ハーバート、ハンガリー系アメリカ人、ジクマント・ロンバーク(ジークムント・ローゼンベルク)がオペレッタを作曲、ミュージカルへと発展した。ミュージカルは、ヨーロッパの喜歌劇から生まれた。
レナード・バーンスタインは、オペラとミュージカルを次のように定義づけている。
「歌によってドラマが進行するのがオペラで、ドラマの中で高まった感情を歌に託するのがミュージカルと定義しているが、これもひとつの説にすぎない。音楽の比重が高いのがオペラ、オペレッタという区分も微妙である。さすがにオペラやオペレッタでセリフが過半というものは存在せず多くて3割程度の比率であるが、ミュージカルは数曲程度しか歌がないものから全編が歌でセリフなしというものまでかなり幅広い。」
バーンスタインは、オペラとミュージカルの違いは微妙だとしている。
ヨーロッパの喜歌劇から生まれた、アメリカの音楽劇としてミュージカルが発展、背景には、ユダヤ・ドイツ系アメリカ人、オスカー・ハマーシュタイン(オスカール・ハンマーシュタイン)1世がニューヨークにハーレム・オペラ・ハウスをはじめ、ブロードウェイに多くのオペラ・ハウスを建てたことにもよる。孫にあたるオスカー・ハマーシュタイン2世は、台本作者・プロデューサーとしてもミュージカルの基礎を築いた。移民が作ったアメリカの音楽劇が、日本をはじめ、世界を席巻することとなった。
出演は、石丸の他に今井清隆、真彩希帆、田中祐子(指揮)、東京フィルハーモニー交響楽団、松田眞樹(ピアノ)による演奏だった。ロジャース「サウンド・オブ・ミュージック」から「ドレミの歌」の旋律に合わせた語りで進んだ。ミュージカルのテーマは愛。オペラも同じ、様々な愛のかたちかオペラのテーマになっている。オペラはオーケストラ中心、ミュージカルはオーケストラ、バンドである。オペラの歌唱はあくまでもクラシックである一方、ミュージカルは地声も交えた歌唱となる。バーンスタインの定義づけからすると、オペラ・ミュージカルの歌唱にも微妙な差はないだろう。
まず、ロイド=ウェーバー『ラブ・ネバー・ダイ』から「心で見つめて」、「君の歌をもう一度」、メンケン『美女と野獣』から「愛せぬならば」の3曲、愛のかたちの実例としてもよかった。ワイルドホーン『ジキル&ハイド』から「罪な遊戯」、スティーブンソンの名作にもどいたミュージカルから、恐ろしい愛の姿を伝えた。最後はシェーンベルク『レ・ミゼラブル』から「民衆の歌」、出演者全員の合唱で締めくくった。
日本のミュージカルの在り方についても、オペラ側からも関心を高めてほしい。本当の音楽劇が根付くことは大切である。オペラからのミュージカルの挑戦もあってほしい。バーンスタインにしても、「ウェストサイド物語」のみならず、「キャンディード」、「静かな場所」も上演すべきではないかと感ずる。オペラ・ミュージカルを知るバーンスタインの作品はどんどん、日本でも上演すべきではないか。
アンドリュー・ロイド・ウェバーの言葉である。
「よい歌を書いたと思えるのは、歌詞が曲と完全に一体化していると分かったとき。」
これはモーツァルトにも通ずる。詩と音楽の一体化を目指し、素晴らしいオペラを残したモーツァルトを思わせる。プッチーニも台本・題材への目配りを徹底した。優れたオペラ作曲家にも相通ずる名言である。
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