タイトルって、何だ?

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 テレビ朝日「題名のない音楽会」、今回はクラシック音楽におけるタイトル(表題)で、私たちが大いに考えさせられたテーマであった。日本の場合、クラシック音楽を聴く場合、タイトルに拘り易い。ベートーヴェン、交響曲 第5番 Op.67なら、第1楽章冒頭の「ジャジャジャジャーン」から「運命」である。「運命」は日本のみ、外国では使われない。
 ベートーヴェン晩年の秘書だったアントン・フェリックス・シントラーは、交響曲 第5番について、
「運命はかくのごとく、扉を叩く。」
と言ったとされる。シントラーのベートーヴェン伝は捏造・改ざんばかりだったこと、ベートーヴェンの会話帳にも多くの捏造・改ざんを行ったことも明らかになったため、ヨーロッパ、特にドイツ・オーストリアではまとまったベートーヴェン伝を出せなくなっている。ベートーヴェン伝といえば、アメリカのアレクサンダー・ウィーロック・セイヤー、メイナード・ソロモン、ルイス・ロックウッドによるもの、英語しかないという現実は重い。ドイツ語ではなかなか出せなくなっている。
 それはさておき、今回はバッハ「G線上のアリア」、チャイコフスキー バレエ「くるみ割り人形」から「葦笛の踊り」、ショパン 10の練習曲 
Op.10-5「黒鍵」、ビゼー「アルルの女」第2組曲から「メヌエット」を取り上げた。バッハの場合、ヴァイオリニスト、ヴィルヘルミがヴァイオリン独奏用に編曲した際、ヴァイオリンのG線での演奏となったため、このタイトルとなった。ビゼーでは、オペラ「美しきパースの娘」からの作品であったことが周知の事実である。ビゼーが、アルフォンス・ドーデの戯曲「アルルの女」の劇中音楽を作曲したものの、戯曲は15回上演されたとはいえ、失敗だった。ビゼーは作曲した音楽から4曲を選び、第1組曲とした。オペラ「カルメン」初演後、ビゼーが亡くなったため、友人、パリ音楽院教授、エルネスト・ギローが選んだ第2組曲に組み込んだ。ビゼーの場合、自筆譜などが散逸して、作品像がわからないものが多いため、全体像もつかみにくい。17歳の時に作曲した唯一の交響曲は、フランスらしさに満ちた名曲である。
 今回の企画は、タイトルを意識しつつ、クラシック音楽を聴く日本人に対する1つの問いとなった。タイトルって、何だ? クラシック音楽を聴くなら、1度問いかけてみる必要がある。クラシック音楽を聴くなら、おこがましさを捨てて、自由に聴き、楽しんでよいはずである。間違ったタイトルがついたといっても、タイトルについて考える1つの契機にもなった。私たちは音楽を聴くなら、タイトルは本当に必要か、問いかけてみる時ではないかと感ずる。
 ニーチェがビゼーを評した言葉を上げておく
「ビゼーの音楽は完璧である。軽やかで洗練され、優雅に近づいてくる。」

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