アメリカの新しい風潮を聴く
テレビ朝日「題名のない音楽会」、廣津留すみれが、アメリカでの新しいクラシック音楽の風潮を紹介した。出演は中野翔太(ピアノ)、西方正輝(チェロ)、井草聖二(ギター)、櫛田満(パーカッション)、堀倉彰(シンセサイザー)、和久井映見(ヴァイオリン)、題名ゾリステン(林周雅、城元絢花、吉江美桜、ミッシェル藍、石田紗樹、中恵菜、奥泉貴圭、小林幸太郎、髙橋洋太)。
O.アルナルズ「Near Light」、ピアノの中野翔太は12歳の時に開催したリサイタルを聴いている。アリオン音楽財団「東京の夏 音楽祭」でのものだった。ジュリアード音楽院で作曲などを学び、視野の広い音楽家に成長した姿を見ることができた。中野のピアノから、心地よさ・新しい音楽への意欲が伝わった。アルナルズはアイスランド出身、ロックからクラシックの音楽家として、ジャンルにとらわれない音楽活動を続ける。シンセサイザーも用いながら、音の揺らぎを追求、音楽の心地よさに目を開かせた作品として注目に値する。
P. グラス「Echorus」、廣津留と葉加瀬太郎音楽塾、ソリストで主席となった和久井映見との共演、和久井にとってはデビューとなった。ヴァイオリン2重奏の部分では、7拍子・4拍子が交互に現れる。弦楽合奏が加わると4拍子となってまとまる。ミニマル・ミュージックの巨匠、グラスならではの面目躍如たるものを感じた。
J.キトル「The Boxing Reels」、キトルはフィドル・ヴァイオリンを手掛ける作曲家で、廣津留は、ジュリアード音楽院でチェロの学生たちが演奏していた時に聴き、いずれやってみようと考えていたという。ピチカートに始まり、打楽器をベースに自由に盛り上がっていく。日本の作曲家にはまねできないものがある。自由であること。作曲家たちは考えたことがあるか。それが問われている。
廣津留はアメリカの空気に触れ、新しいクラシック音楽の在り方に触れ、日本の音楽家たちへの提言はさることながら、音楽の在り方も根本から問い直している。楽しさ・喜びを伝えられているか。今年のショパンコンクールで、桑原詩織が4位となっても、参加したピアニストたちは、本当に音楽を楽しんで演奏していたかも問われる。日本のピアニストたちの選曲・プログラム構成の下手さにも驚かされた。入賞したピアニストたちの選曲・プログラム構成の上手さは見習うべきだろう。留学するなら、新しいクラシック音楽にも親しんで、視野を広めるべきではないか。
日本の作曲家たちは、本当に聴き手に届く作品を残しているか。廣津留は、日本の作曲家たちにも問いかけているような気がする。その意味でも、今回は大変聴き応え十分だった。ただ、放送時間が30分でいいだろうか。今後の課題だろう。
グラスの言葉である。
「過去が再発明されて未来になる。つながりがすべてなんだ。」
今の音楽の在り方を問い直している名言である。
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