古の箏の響き
テレビ朝日「題名のない音楽会」、筝曲のルーツとなった筑紫箏の響きの復元。響きの素朴さ、心に響く音色。21世紀の今によみがえり、私たちの耳に届く。箏曲界の若き革命児LEOは、箏の可能性を追い求めつつ、ルーツを探った。福岡県、佐賀県を旅しながら、新しい筝曲を作った「筝の革命者」たちを辿った。筑紫の僧、賢順は、明朝の琴の演奏家、鄭家定から琴を学び、寺院に伝わる雅楽・歌謡をもとにした筝曲を生んだ。
筑紫箏研究の第一人者、宮崎まゆみ氏も出演、筑紫箏の原型に関するお話もあった。原型から再現した筑紫箏を用いて、「小倉の曲」、LEOの自作「常若」を披露した。爪は竹製、とがったもので、素朴でありながら、心に響く。江戸時代になると、八橋検校を祖とする八橋流、生田検校を祖とする生田流、山田検校を祖とする山田流が生まれた。山田流・生田流は、箏の爪の形も確立した。山田流は丸爪、生田流は各爪となった。
八橋検校が作曲した「六段」は、西洋音楽のディフェレンシャスの流れを汲んでいる可能性があると、皆川達夫が指摘した。キリスト教との繋がりにも言及している。「六段」が明治期、オーストリア公使を務めた戸田氏共の夫人、極子がブラームスの前で演奏した。これを聴いたオーストリアの作曲家、ボックレットがピアノ曲に編曲、ブラームスも楽譜を手に入れていたこともがわかった。
「六段」が西洋音楽との繋がりを指摘され、ヴィーンの地で響き、ブラームスが耳にしたという、壮大な物語から、改めて西洋との繋がりを感ずる。筑紫箏、筑紫筝曲が源流となって、大きな流れになり、ヨーロッパ、音楽の都ヴィーンで響きわたり、大作曲家の耳に届いた。こんな壮大なドラマを誰が想像したか。
LEOが、筝の可能性を追求する中で、ルーツとなった筑紫箏、筑紫筝曲に出会った意義は大きい。その意味では、LEOが今後、どのような形で筝、筝曲の可能性を追求するかに期待がかかる。伝統と新しさ。LEOが目指す筝曲、箏の在り方がどう変わるか。私たちはしっかり見守りたい。筑紫箏・筑紫筝曲との出会いが、LEOをどう変えるか。これからの活躍には一層注目すべきである。
明治以降、宮城道雄などが伝統を大切にしながら、新しい日本音楽の在り方を追求していった。宮城が作曲した「春の海」が、新春を彩る古典として私たちの間に定着した。ヴァイオリン、フルートとの組み合わせも斬新である。今でも、多くの人々の耳を捉える日本の響き。新しさと伝統の融合。LEOもその課題に取り組んでいる。
もう一度、「春の海」をじっくり聴きながら、伝統と新しさを考える。雅やかな箏、孤高の響きを伝える尺八が一つになって、日本の春を彩っていく。この響きを耳にしながら、日本の正月の光景をまざまざと伝える名曲であると、誰もがしみじみと感ずる。伝統と新しさが融合した名曲が、正月の日本に響く時、私たちは、静かで清々しい気分になる。そう思わせる名曲である。
ラルフ・ワルド・エマーソンの言葉である。
「その日その日が一年で最良の日である。」
「春の海」もエマーソンの言葉に相応しいような気がする。
筑紫箏研究の第一人者、宮崎まゆみ氏も出演、筑紫箏の原型に関するお話もあった。原型から再現した筑紫箏を用いて、「小倉の曲」、LEOの自作「常若」を披露した。爪は竹製、とがったもので、素朴でありながら、心に響く。江戸時代になると、八橋検校を祖とする八橋流、生田検校を祖とする生田流、山田検校を祖とする山田流が生まれた。山田流・生田流は、箏の爪の形も確立した。山田流は丸爪、生田流は各爪となった。
八橋検校が作曲した「六段」は、西洋音楽のディフェレンシャスの流れを汲んでいる可能性があると、皆川達夫が指摘した。キリスト教との繋がりにも言及している。「六段」が明治期、オーストリア公使を務めた戸田氏共の夫人、極子がブラームスの前で演奏した。これを聴いたオーストリアの作曲家、ボックレットがピアノ曲に編曲、ブラームスも楽譜を手に入れていたこともがわかった。
「六段」が西洋音楽との繋がりを指摘され、ヴィーンの地で響き、ブラームスが耳にしたという、壮大な物語から、改めて西洋との繋がりを感ずる。筑紫箏、筑紫筝曲が源流となって、大きな流れになり、ヨーロッパ、音楽の都ヴィーンで響きわたり、大作曲家の耳に届いた。こんな壮大なドラマを誰が想像したか。
LEOが、筝の可能性を追求する中で、ルーツとなった筑紫箏、筑紫筝曲に出会った意義は大きい。その意味では、LEOが今後、どのような形で筝、筝曲の可能性を追求するかに期待がかかる。伝統と新しさ。LEOが目指す筝曲、箏の在り方がどう変わるか。私たちはしっかり見守りたい。筑紫箏・筑紫筝曲との出会いが、LEOをどう変えるか。これからの活躍には一層注目すべきである。
明治以降、宮城道雄などが伝統を大切にしながら、新しい日本音楽の在り方を追求していった。宮城が作曲した「春の海」が、新春を彩る古典として私たちの間に定着した。ヴァイオリン、フルートとの組み合わせも斬新である。今でも、多くの人々の耳を捉える日本の響き。新しさと伝統の融合。LEOもその課題に取り組んでいる。
もう一度、「春の海」をじっくり聴きながら、伝統と新しさを考える。雅やかな箏、孤高の響きを伝える尺八が一つになって、日本の春を彩っていく。この響きを耳にしながら、日本の正月の光景をまざまざと伝える名曲であると、誰もがしみじみと感ずる。伝統と新しさが融合した名曲が、正月の日本に響く時、私たちは、静かで清々しい気分になる。そう思わせる名曲である。
ラルフ・ワルド・エマーソンの言葉である。
「その日その日が一年で最良の日である。」
「春の海」もエマーソンの言葉に相応しいような気がする。
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