反田恭平、ジャパン・ナショナル・オーケストラのコンサート 1

 テレビ朝日「題名のない音楽会」、今回は反田恭平、ジャパン・ナショナル・オーケストラと共に、福岡県宗像市でのコンサートを2回に分けて放送する。第1回は宗像市民と共に音楽を楽しむことを中心としたプログラムであった。
 まず、W.A.モーツァルト 歌劇「劇場支配人」K.486 序曲。以前、番組のテーマに使われていた。ヴィーンに移住したモーツァルトの意気込みが現れた作品。神聖ローマ帝国皇帝 ヨーゼフ2世が、妹マリア・クリスティーナ、アルベルト・カジミール・フォン・ザクセン=テシェン夫妻のヴィーン訪問に合わせたイヴェントの際に作曲したもので、アントニオ・サリエリ「まず、音楽、次は言葉」と共に上演した。劇場支配人が新作上演のために奮闘する。きびきびしたテンポ運び、統率力が素晴らしかった。
 次は、J.ブラームス ハンガリー舞曲」第5番より 特別編成版、2007年から2013年にかけて、名物コーナーだった「振ってみまSHOW」復活版のための演奏、このコーナーでは、後藤芽衣さん、谷﨑彩優さん、2人の小学生が挑戦した。後藤さんはしっかりオーケストラをまとめていた。谷崎さんはおとなしすぎたのか、ゆったり目だった。
 最後は、蒔田尚昊「秋祭りの日のロンディーノ」、小学生、折尾晴香さんがピアノを演奏、「村祭り」「赤とんぼ」を織り込んだ、秋祭りの風景を描いた作品である。折尾さんが見事な演奏を聴かせた。
 子どものためのコンツェルトは、アメリカでは2台ピアノで多数作曲されている。子どもたちにオーケストラとの共演経験を積ませることを重視しつつ、音楽としても聴き応えあるものになっている。日本でも、この種の作品が多く作曲され、子どもたちが演奏できるようにして、コンツェルトの経験を積ませることが大切ではないかと感ずる。オーケストラの代用として、エレクトーンを用いることが可能である。こうした試みが日本でも広まってほしい。
 キャサリン・ロリン、マーサ・ミアーなど、アメリカの作曲家たちによる2台ピアノのためのコンツェルトは、日本でも出版する価値がある。オーケストラとの共演準備として、貴重な経験を積ませるにはうってつけである。日本ギロック協会では、ギロックの作品と共に、キャサリン・ロリン、グレンダ・オースティン、マーサ・ミアー、キャロリン・ミラーなどのアメリカの作品を続々、日本へと紹介してきた。2台ピアノのためのコンツェルト、2台ピアノのための作品もどしどし、日本に紹介してほしいとも願っている。
 とはいえ、日本のピアノ教育の傾向を見ると、アメリカのピアノ・メトード中心の傾向が目立つ。ヨーロッパの優れたピアノ・メトードも、新しいものなどをどしどし紹介してほしい。国内でも優れたピアノ・メトードが出ている今、ヨーロッパのものも紹介すべきではなかろうか。
 さて、次回、福岡県宗像市でのコンサート、来週はどうなるだろうか。楽しみである。カール・バルトの言葉である。
「天使が神を讃えるために演奏するのはバッハかもしれないが、家族と過ごすときに奏でるのはモーツァルトだ。」

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