名古屋芸術大学の学生たちよ、頑張れ 15

 名古屋芸術大学、來住尚彦学長のセクハラ事件に対する、学生たちの抗議展覧会への取材拒否、朝日新聞が取り上げた。
「現在の学長からセクハラ行為を受けたと女子学生らが訴えている問題などをめぐり、名古屋芸術大学(愛知県北名古屋市)の学生グループが、この問題を考えるアート作品の展示会を開いたところ、大学側が報道機関などの取材を認めない対応をとっていたことがわかった。大学は
『施設を管理する立場から取材の可否を判断している』
としている。一般向けの公開はされていたという。
 同大では、女子学生6人が、昨年8月のミュージカル練習で、現学長に頭をなでられた、顔を近づけられたなどと訴えており、大学側は調査委員会を設置した。
 今年3月末までに、
『ハラスメントが行われたとは認定できない』
という結論が出されたが、学生側は
『本来行うべき調査を全うしなかった疑いがぬぐえない』
などと、大学側に調査の経緯の説明や再調査を求めている。
 同大をめぐっては、これまでも、経営する法人から職務停止命令を出された当時の学長側が、無効確認を求めて名古屋地裁に訴えるなど、混乱が続いている。
 
 展示会『ソウドウトリスペクト』 学生が企画

 今回、現代アートを学ぶ5人の学生が、5月31日から今月5日まで、西キャンパスで『ソウドウトリスペクト』として展示を企画。一連の問題を知り、当事者の代理人らに話を聞き、『ソウドウ(=騒動)』をテーマとして着想。展示した7作品のうち5作品が一連の問題を扱っているという。当事者の女子学生のインタビュー映像や、学長に対する質問状を掲示した作品も展示した。
 学内外の一般向けに公開されたが、その後、報道機関などの取材を拒否する対応が明らかになった。今月4日、フリージャーナリストの男性が会場で取材しようとしたところ認められなかったという。
 同大広報部は、今回の展示のほか、学生に対するキャンパス内での取材も応じない、と事前に決めていた、としている。理由については
『お答えできない』
としている。
 今回の展示に限らず、取材の諾否は個々に判断しているといい、
『大学の敷地内で起こることは大学に決定権がある。応じるか応じないかは私たちの意思』
と説明した。
 一方、主催した学生の一人は、学生だけでなく、学外の人にも作品を通して問題を考え、語り合える場をつくろうと考えた、という。展示にあたり、学長側にもインタビューを申し込んだが、認められなかったとする。
 この学生は、
『学校の問題を取り上げた初めての展示で、このような対応があったのは芸大としてあってはならないことだと思う。現代アートを学ぶ学生たちが萎縮しないか、心配だ』
と話す。取材を拒否されたジャーナリストも、
『学生のメディアを通しての表現も僕の表現も大学に妨げられた。誰かが表現したいことをすくいあげるのが芸術。大学の対応は、自分で自分の首を絞める行為だ』
と批判する。

 「胆力、大学側に問われている」

 武蔵野美術大の志田陽子教授(憲法・芸術関連法)の話 
 大学の取材拒否の対応は、法的に言えば違法ではないが、大学のあり方として、『表現の自由』や『学問の自由』の趣旨には相いれない対応だ。
 芸術系の若い学生が表現者として、作品を通して社会に訴えたいという高い意識に対して、『事なかれ萎縮』で火消しにまわろうとする姿勢が感じられ、疑問が残る。
 大学は公共に開かれた場であるべきで、私立大学の場合にも、私的団体としての判断より公共の担い手としての判断を優先させるべきときがある。
 大学の公共性に照らして、火消しに走るのではなく、学生の自由な議論に任せるという『公の器』としての胆力が、大学側に問われている。」
当然である。記事を担当した、朝日新聞、小原智恵記者は次のように指摘する。
「本日は名芸大の展示に関する取材拒否の問題を取材していました。展示を企画した学生の行動力が何よりもすごいです。大学も展示を許しているのですが、広報対応が……。企画した学生や識者に取材しました。配信もされるかと思います。吹奏楽など文化担当としていろいろ複雑な気持ちになります。
 名古屋芸大、現代アート、表現の自由、学問の自由、大学とは…など考えながら取材しました。」
小原記者は、大学側が、來住氏のセクハラ事件もみ消しに躍起になっていることを示唆する。関係者は次のような結論付けている。
「広報の職員さんもおそらく上からの指令に逆らえず苦慮してるのでしょう。これまでのこれらどうしようもない対応(学生対応も外部対応も)のあれこれは全て濱田経営本部長の命令だという複数の情報が寄せられています。」
濱田誠経営本部長は、來住氏のセクハラ事件がさらに拡散され、週刊誌・テレビに出ることを恐れている。昨日、NHKが報じたことで、火消しに躍起だということを裏付けている。
 学生の声である。
「その男はまだ誠巧妙に陰に隠れ、裏で糸を引き続けていると聞く。命じられ不本意ながらも表立って対応せざるを得ない職員は、余りに気の毒というものではないか。いい大人がいつまでコソコソ隠れてるつもりか?全ては自分の蒔いた種、いい加減表に出てきて説明したらどうだ?」
 來住氏のセクハラ事件は、今一生氏もYou Tubeで取り上げた。
https://www.youtube.com/live/YG82x0r_gqs
氏は、家父長制度、家を存続させることが、女性・子どもと言った弱者へのいじめになっていることを指摘、ジャニーズ問題、來住氏のセクハラ事件も同じ土壌であると結論付けた。権力を持ちたがる者は、権力に虐げられたから、権力がほしい。虐げられたものほど、権力を欲しがる。日本の教育が「言うことを聞け」に始まるから、憲法があっても、憲法の本質、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義を学べない。選挙の投票率が低いことの背景にも、自分たちの権利を行使し、守ることができなくなっていることがある。
 子どもの頃から、憲法を学ぶ土壌がなく、「言うことを聞け」では、人権意識も育たないし、弱い者いじめも当然のこととなる。セクハラ・パワハラは、「言うことを聞け」から生じた、陰湿な虐めである。日本の芸術、特に音楽・芸事では、「言うことを聞け」だから、創造性豊かな芸術家が育たないし、自分から色々学ぶ意欲を摘み取ってきた。音楽大学受験を見ても、「言いなり」の面がある。そうした構造が、様々な歪みを引き起こしたことは当然だろう。子どもは失敗しながら学ぶこともわからず、「言うことを聞け」で終わった。そういう社会構造から、1人1人を尊重し、伸ばしていく教育に変わる時である。今氏の指摘は当然である。
 名古屋自由学院理事会は新しい理事会に変わって、名古屋芸術大学の信用・名前・品格を取り戻してほしい。その上で、來住氏に学長を辞任してもらい、立ち去ってもらうことである。新しい学長に、宮川彬良氏を迎え、再建を進めてほしい。
 この事件解決には、ジャニーズ問題をはじめ、性暴力全体に関心のある人々にも呼びかけ、支援を広めることが一番大切である。來住氏が、ジャニー喜多川氏との関係を公言、顰蹙を買ったことから、ジャニーズ問題などをツィッターで流している方々にも呼びかけ、広範囲な運動に発展させれば、來住氏を学長辞任に追い込めるし、理事会刷新につながる。名古屋芸術大学の学生・教職員・保護者の皆さん、ジャニーズ問題などの性暴力に取り組んでいる方々とも繋がり、來住氏を名古屋芸術大学学長辞任に追い込み、理事会刷新に繋げるよう、頑張っていただきたい。

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